【Q.ご相談事例】】

医療保険は法人で加入した方がお得なのでしょうか?

【A.ご回答】

中小企業の経営者の方で医療保険を個人で掛けるか、法人で掛けるか迷っている人もいるのではないでしょうか?

医療保険を法人で契約をすると保険料を損金として計上できるのが最大のメリットとなります。
ただし、給付金の受取り時の注意点などデメリットもあります。法人契約は個人契約よりも複雑になるので、検討するときは注意しましょう。

はじめに・・・医療保険の法人契約とは 医療保険の契約者を法人にするということです。
簡単に言うと会社が医療保険の保険料を支払っていくことです。

1番のメリットはその保険料を損金で落とせます。ただしデメリットもあるので確認していきましょう。

①医療保険を法人契約にする3つのメリット
医療保険を法人契約にするメリットは保険料を損金計上できることですが、それ以外には経営者が万が一入院した場合に売上が減少するなど損失が出たときに給付金で補てんできるなどがあります。

法人契約にすると以下のメリットがあります。

  • 保険料を損金計上できる
  • 経営者の入院による売上減少などを補う効果がある ?
  • 保険料支払いが終了した時点で個人に名義変更するとその後保険料を支払わずに保障が受けられる。

②医療保険を法人契約にする2つのデメリット
デメリットとしては受取る給付金が個人の場合非課税ですが、法人が受取ると雑収入として課税の対象になります。
お見舞金という形で役員・従業員に出す方法がありますが金額は「社会通念上相当とされる範囲」となっており、全額をお見舞金にすると給与となる場合があります。

法人契約にすると以下のデメリットがあります。

  • 給付金を法人が受け取った場合は雑収入となり課税の対象となる可能性がある。(個人は非課税
  • 全額をお見舞金として役員に出すと、役員賞与・給与になる場合がある。

③-1 給付金をお見舞金として役員・従業員に給付する
前節のデメリットに記載しましたが給付金を法人が受取ると雑収入になります。
その給付金を法人から役員・従業員がお見舞金として受け取る場合には注意が必要となります。
通常、個人が受け取る入院給付金等は「身体の傷害に基因して支払いを受けるもの」に該当するため、非課税となります。
しかし、法人が受取人であり、法人が受け取った入院給付金を見舞金として役員や従業員に支払う場合、「社会通念上相当とされる範囲」の金額を超えた部分が非課税ではなく「給与」となり、課税の対象となります。
ただし「社会通念上相当とされる範囲」の金額には明確な判断基準がないのが現状です。
一般的には5万円~10万円とされています。

③-2 慶弔見舞金規定が制定されていないと給与になる可能性がある
慶弔見舞金規定に基づいてお見舞金として役員・従業員に支給することが必要です。
慶弔見舞金規定がない場合は給与とみなされる可能性があるので注意しましょう。 (経理処理)
法人が給付金を受け取った時の給付金は雑所得(雑収入)になります。

④短期払いも全額損金できるようになった
平成24年4月より終身医療保険の短期払いも全額損金が認められることになりました。
以前は短期払いにすると一部を資産計上しなければいけなかったので節税効果は小さかったですが全額損金が認められることにより、医療保険を法人契約するメリットが大きくなったと言えます。
※短期払いとは 保険料を保険期間より短く支払うことです。
保険期間:終身 保険料払込期間:60歳まで・10年など

⑤保険料支払い終了後個人名義に変更する方法がある
保険料を会社で支払いをしていき、保険料払込期間が終了すると個人に名義変更するとその後は保険料を支払わずに一生涯の医療保障を受けることができます。
メリットとしては保険料全額を損金計上していき、個人としてはお金が掛からずに一生涯の医療保障を手に入れることができる点です。
例 契約者:法人 被保険者:45歳 男性 保険期間 :終身 払込期間 :60歳まで 入院給付金:1日 10,000円 解約返戻金:なし 保険料:月々10,000円 保険料総額:180万円
会社で15年間で180万円の保険料を支払い損金計上していき、保険料が払込みが終了してから個人で名義変更すると、その後保険料を支払わずに一生涯の医療保障を手に入れることができます。
また、法人から個人への名義変更の場合、その買取価格は解約返戻金相当額となっていますので上記の場合は解約返戻金がないので個人でお金が掛かりません。

まとめ
医療保険を法人契約で加入すると保険料を損金計上できるのでメリットは大きいと言えます。
ただ、給付金を受け取った時の処理を理解しておきましょう。
また、医療保険本来の機能として入院をしたときの保障があります。
特にオーナー経営者の方が入院をすると会社の業績に影響が出る可能性があるので保障として、しっかりと医療保険に加入をしておきましょう。