「運動」は、私たちの心身の健康づくりに欠かせません。
しかし、家事や仕事の自動化、交通の発達により、家庭でも職場でもからだを動かす機会はどんどん減っています。
生活の中に、楽しく長続きできる運動を積極的に取り入れることができればベストですね!

●運動は習慣化させることが大切
運動することによって、からだにどんな効果があるのか、あらためて確認してみましょう。
まず、筋肉や骨が丈夫になる、体力がつく、免疫力が高まる、心肺機能が強まる、血液循環がよくなる、爽快感が味わえる、よく眠れるようになる、といった心身の基盤固め。
さらに、肥満解消、高血圧や動脈硬化の防止、老化防止、糖尿病、脳卒中・虚血性心疾患など生活習慣病、骨粗鬆症や寝たきりになるリスクを抑えるという素晴らしい働きもしてくれます。
運動によってがんに対する抵抗力が増すこともわかっています。
運動といっても、特別なことをする必要はありません。
たとえば、歩く機会を増やすとか、家事や仕事の合間にストレッチをするなど、「日常の運動量」を多くすることが重要です。
肝心なのは、運動を習慣化すること、続けること。それが、健康をつくるのです。

●運動習慣のある人はどのくらいいるか
「運動を週2回、1回30分以上、1年以上続けている人」はどのくらいいるかというと、男性では18.5%、女性が14.6%。男女とも20~40歳代が低率で、逆にがんばっているのが60歳以上の人たち。
働きざかりの人は、生活習慣病になりやすい世代でもあるので、もっと積極的に運動するように心がけましょう。

●ウォーキングはすぐれた運動
「人間にとっていちばんよい薬は歩くことだ」。
これは古代ギリシャの哲学者であり医師のヒポクラテスの言葉ですが、「歩く効用」はさまざまな研究報告のなかで明らかにされています。
たとえば、アメリカで1週間に約14km以上歩く人と約5km未満しか歩かない人を10年間にわたって調べたところ、調査中に死亡した人の割合は、よく歩く人のほうが21%も低かったそうです。
また、日本の「国民栄養調査」によれば、毎日よく歩く人のほうが血液中の善玉コレステロールが多く、また、血圧も安定していることがわかっています。
ウォーキングは体を動かしながらたくさんの酸素を取り入れる「有酸素運動」の一つ。ですから、他の有酸素運動と同じように、心肺機能や基礎体力を高め、抵抗力を強化、肥満を解消したり、高血圧、高脂血症、動脈硬化を防ぐことによって、生活習慣病のリスクを減らす効果があります。
また、ウォーキングのよさは「安全、手軽、簡単」であること。どんなに効果的な運動でも、負担が大きければ危険ですし、だれでも簡単に手軽にできるものでなければ続けることはできません。
3拍子そろったウォーキングほど健康づくりに最適な運動はありません。
うれしいことに肥満のもとである体脂肪を燃焼するのは、激しい運動よりウォーキングのような軽い運動のほうが効率的という研究報告もあります。